Q&A 2021.3.3 シンポジウムより

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~2021年3月3日に 開催いたしましたシンポジウム「リスク共生社会を実現するオープン社会創造拠点」の中で頂きましたご質問に対する回答を掲載します。


NPOの立上げシンポジウムにご参加いただきありがとうございました。
シンポジウムで頂いたご質問に以下のように回答させて頂きます。
今後とも、NPOの活動に関心を持って頂き、一緒に活動できる日を楽しみにしています。

NPO活動法人リスク共生社会推進センター
理事長  野口 和彦


提案されているNPOは、安全・安心という学問領域(?)の専門家に限定されたNPO法人だろうと理解します。非専門の技術者OBである当方には、理解できない事が多数あります。原子力フクシマの事故、コロナパンデミックに限らず、戦争を人間か性懲りもなく今日まで起こしている事これは政治・経済の問題度と思いますが、そこから社会科学技術のアプローチをされているという、チャレンジ精神に敬意を表します。 是非、学者の視点に基づいた俯瞰的に世の人々に寄り添う活動を宜しく御指導下さい

本NPOは、安全・安心に焦点をあてた組織ではありません。社会で考慮すべきリスクとは何かを考えて行こうとする組織です。リスク共生社会創りには、ご質問にあるような問題意識がとても大切だと思います。これまでの専門的視点では、まだ、わかっていないことが多く存在するにもかかわらず、今わかっていることで社会を分析していこうとします。これまでの専門家による社会観に加えて、多くの専門家でない人の感性を併せて、考えて行きたいと思います。

参加や活動に、どれくらい費用はどれくらいかかるのでしょう

個人会員は5000円/年,団体会員は一口10万円/年になります.その他の詳細はNPOのウェブサイトに掲載いたしますので,そちらをご確認下さい

ゼロリスクが日本人の文化の背景になるようです。これを変えようと何度かチャレンジしてきましたが、変人とか不吉な人とか言われるばかりです。かなりのチャレンジだと思いますが、本当に実現できるのでしょうか

リスク共生の考え方では、ゼロリスクは可能性や変化を認めないことと同義語になります。

変化や成長は、不確かさを含んでいます。変化や成長を臨む場合は、不確かさの影響が好ましくない領域にも及ぶことは、必然になります。

ただ、現在、議論の中で発せられる「リスクはゼロで無ければ受けいれられない」という発言の中には、専門的な議論のなかで、生じた不安を表現する場合にも使用される場合があり、注意が必要だと思います。

リスクコミュニケーションでは、異なる意見を戦わせる前に、言葉の共有化を図ると共に、まず、何処までは合意できるかを話し合う等のコミュニケーション技術法の理解も必要だと思います。

野口先生のおっしゃった「リスク共生」という概念やアプローチは非常に重要だと感じました。このようなアプローチによる社会実装は今後の日本社会にとって必要だと思われますが、国内や国外で見られる先進的な取り組みの事例はありますでしょうか?もしありましたら、ご紹介いただければ幸いです。

今回お話をさせて頂いたリスク共生という考え方を学問としてまとめたのは、横浜国立大学ですが、この考え方は既に社会運営や企業経営に使用されています。ただ、その運営は、行政長や経営者のマネジメント技術として経験的に発展してきたもので理論化されていなかったために、優れた長が行なった時に優良な経営として認識されてきました。

マネジメントというものは、管理と異なり基本的に多様なリスク総合評価の連続です。

特にこの判断が迅速に行なわれることを要求するものに、危機管理があります。

リスク共生とは、このマネジメント技術を目標設定、リスク特定から判断までを体系的にまとめたものです。この活動によって、複雑な問題を整理し、多様な価値を持つ社会の運営にまで活用することを目指しています。

10年前の大惨事は、まるで戦前のように嘘の大本営発表をマスコミも国民も期待していたようです。 真実を知りたくない、いやなものは見たくない、という観点から日本人には、リスク耐性と、リスクコミュニケーションを活用したあらゆる分野の方々とつなぐことが重要ではないかと思います。

ご意見の通りだと思います。社会に潜在するリスクや危機情報をありのままに認めるには、意志の強さが求められます。

リスクマネジメントという学問は、リスクを対応に許される時間が多い状況でなるべく早く知って、リスクを認識するときのプレッシャーを少しでも軽くする方法でもあります。

リスクから目をそらした結果が、10年前の大震災の被害を避けられなかった要因の一つかもしれません。

リスクから目をそらしても、リスクが無くなるわけではありません。

リスク共生は、リスクをしっかり見つめ、多くの人の力で乗り越えようと行く社会活動でもあります。

リスクの定量評価の際に、分野ごとに異なるリスク基準を設定することに大変苦労していますが、リスク基準を考える際に、リスクのトレードオフも考慮したうえで、複数の分野も考慮することになると、さらにリスク基準の設定が難航するのではないかと考えます。日本学術会議などでも、リスク基準の設定の考え方に関して、議論が進められており、いつも、勉強させていただいております。ありがとうございます。リスク基準の設定は一民間企業のみでは、なかなか、決めることが難しい側面もあると思います。今後も、活発な議論をしていただければ、大変に勉強になります。

リスク基準としては、社会生活の視点でどの企業も守るべき社会リスク基準と、企業が自主的に定める企業リスク基準が存在すると思います。

企業リスク基準は、社会リスク基準を満足する状況では、企業も経営方針に従って、定めてもらえれば良いと思います。

社会リスク基準は、専門的リスク分析に基づいて、社会的合意を得る必要があります。この社会リスク基準の基本要件は、学術会議で定めていますが、NPOでは、具体的な社会リスク基準を、協力を得られた分野から作成していきたいと思います。

NPO活動の結論を得て、テストや実施の働きかけは会員自身の活動となるのでしょうか?

NPO単独で可能な事項は、会員活動により実施することになります。

対象によっては、関連機関とのアライアンスを結んだり、公的または業界の資金を募集したりして、新たな活動チームを結成することもあると思います。

リスク共生社会という考え方は重要だと思いました。特に、トレードオフの関係にある事象に対して、個人の価値観を反映させた意思決定は必要だと思いました。一方で、相反する個人の価値観があった場合、最終的な意思決定が難しいと考えましたが、この辺りはどのようにお考えでしょうか。マジョリティの価値観が強く働く可能性もあると、個人的には思いました。

ご意見の通り、社会施策を決定する際の個人の価値観をどう反映するかが、一番悩むところです。

現在は、まず施策を決めていくプロセスに関して、多くのステークホルダの合意を得る方法を採用したいと思います。

この合意のとれたプロセスの運用を、透明性を持って厳格に運営して、施策を提言していきます。

形に拘りうまくいかないケースが多いと思います。形から入る文化が問題です。

ご意見が何を対象にしてのご意見かは理解していませんが、形式的な対応に終始すると結果が出ないのはご意見の通りだと思います。

ただ、本質を多くの方の理解して頂くためには、わかりやすく説明する必要もでてきます。

その説明が、形から入りすぎると、表面的な議論や活動になってしまいますので、その点は気をつけたいと思います。